この世界は思っていたほどうまくいかないみたいだ(新井見枝香)
書店員の書いたエッセイ。いろいろとぶっ飛んでいて面白い。1編あたり3~4ページと短いが、その中で話がアクロバティックに変化したり、最後の一行でもとにもどったりと読んでいて飽きない。自虐ネタも下ネタも盛りだくさんだが、嫌味もないし下劣さも感じない。ひさびさに面白いと思えるエッセイ。
新幹線で知る日本(池亨)
日本の新幹線の全駅を紹介し、地理・歴史・社会にまつわる話を写真つきで解説。新幹線の車両についても詳しい。
もの忘れと記憶の科学(五日市哲雄)
記憶のメカニズムについて科学的な解説を加えている。記憶の話となると、どうしても客観的になれずに記憶術などに意識が向かいがちだが、生化学的なアプローチで客観性を保っている。記憶は覚えるだけではなく、忘れることも大切だと何度も繰り返している。
蝶の羽ばたき、その先へ(森埜こみち)
始業式の朝に突発性難聴にかかり、左耳の聴力を失った結は、唯一の家族である母にそれを伝えられるまで一か月かかった。むろん、クラスメートに打ち明けるのは難しく、無難に日々を過ごすことにだけ気を取られていたが、手話との出会いで希望が生まれる。
涼介の対応がすばらしいし、お母さんの距離感が最高。おかげで結がこじらせたりせず、自分のペースで自分と気合えたのだろう。
耳が聞こえなくなったことで気づくこともある、耳が聞こえなくなったことで出会えた人がいる。そういうものを大切にしてほしい。
中学英語で話せる日本文化1 日常生活編
文法的には理解していも日常生活を英語で過ごすのは簡単ではない。笑えるイラストでツッコミどころも満載。英語を使ってみようと思う人の入門に最適。
読むだけではなく英語に触れる機会を増やしていきたい。
海のカナリア(入間人間)
殺しあうほど好き。一度殺しただけでは物足りないというラブコメ。多重人格者の人格どうしがイチャついたり、生み出された人格のモデルが実在の異なる時期から取り込んだものだったりと、何か別の話にも使えそう。
催眠ガール(大嶋信頼)
術についてではなく、呼吸を合わせることで気が通じる話。小説にしたのはもったいない。