きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

フィクション

幽霊ランナー(岡田潤)

「ぼくが君にできること。それは、自分の走りを見せることだけ」 2人の幽霊ランナーが登場する。一人はマラソン大会で小3から3年連続で、スタートラインで棄権した少年。もう一人はトップランナーとしての記録を持ったまま中学で亡くなった少年。二人の幽…

高校事変(松岡圭祐)

「どうするかは自分で決められる。できることをやり抜く。できないことを悔やむのではなく。」 総理が訪問中の武蔵小杉高校を武装勢力が占拠し、数百名の生徒、教員、SPを殺害する。高校には平成最大のテロを起こし死刑が執行されたテロリストの娘が通ってい…

まつらひ(村山由佳)

祭りをテーマに大人の男女の関係が新しくなる6つの短編集。古来から伝わる祭りへの参加者たちの思いと、ふとしたことで祭りに関わった者の描写がすばらしい。むつみごとの妖しい表現も引き込まれる。 村山由佳の本は「ワンダフル・ワールド」「天翔る」に3…

配達あかずきん(大崎梢)

書店を舞台にした連作ミステリー。主人公の杏子が語り手、アルバイトの多絵が探偵役。いずれも読後感が爽やかではあるが、逆に軽すぎるという感じも受ける。謎としては短編で終わらせるにはもったいないものもあり、長編化できそう。

海の見える丘(くすのきまさしげ)

心にしみいる絵のない絵本。「幸せは自分が決める」「希望は伝えられる」「豊かさとは」「受け継がれるやさしさ」「生き方が人生になる」をテーマにした5つの作品。 意表をつく展開の「幸せは自分が決める」で引き込まれ、「受け継がれる優しさ」が良かった…

自殺予定日(秋吉理香子)

自殺に成功した者と失敗した者の会話が始まったところで読むのをやめようとおもったが、読み進めてよかった。自殺を試みる人たちを描いた小説ではなく、ミステリーサスペンスとしてどんでん返しも意表をついてきて面白い。

ラストで君は「まさか!」と言う 悪魔のささやき

4人の執筆者による、悪魔をテーマとして26の掌編。 プロローグからして読者を引き付けて面白いし、本編も期待を裏切らない。

トリガー(いとうみく)

「こんなに笑えるのなら死ぬ必要なんてないような気がする。それとも、死ぬって決めたから笑えるのだろうか」 小4のときに仲良しの友だちに取り返しのつかないことをしてしまったと後悔している音羽(とわ)は他人の微妙な問題に踏み込むことを恐れ見て見ぬ…

エンタングル:ガール(高島雄哉)

映研の撮影を続ける中で感じる齟齬。それは町に隠された世界の綻びだった。 量子もつれで思い出したのはミクロの世界の不確定性がマクロ世界では現れていないように見える現象。どこまでがミクロでどこからがマクロ化という話にもなるが、解像度が違うせいで…

思春期(小手鞠るい)

「私は私のままの私が大好きなのです」 「わたし」は自分のどこをとっても自信がなく、友だちもいないし、将来も見通しが立たない。どんどん沈んでいくような中学校の3年間を過ごした最後に、ダメなままでも大丈夫、好きなものとすきなことさえ見つかれば生…

ゆゆのつづき(高楼方子)

黄の花のワンピースを着て出かけると不思議な嬉しいことが起こる。小5のときに途切れたままの記憶が今またよみがえる。自分の手で翻訳した本を通じ歩みを振り返る。 詩のような表現描写が目を引く。

もうひとつの曲がり角(岩瀬成子)

「しなくちゃいけないといわれたから、しなくちゃいけないって思うのは、それは考えてないってことじゃないのかな」 引っ越ししてから通い始めた英会話スクールでもやもやを募らせ、サボった先の家の庭でおばあさんの物語を聞き想像の世界につかる朋。英会話…

みどり町の怪人(彩坂美月)

連作短編集。最大の謎は怪人の正体。 この手の本はどの系統なのかわからないまま読めるのが良い。怪異が実際に存在するのか、あるいは特定の個人や団体が怪人なのか、あるいは枯れ尾花なのか。 この本はさらに、各短篇の人間模様が面白い。特に6章が良かっ…

温室デイズ(瀬尾まいこ)

学級崩壊、校内暴力、いじめ。勇気を出し、自分でできること、自分にしかできないことをする。できることは必ずある。間接的な働きかけでもいい。開き直ると肝が据わり局面を打開できるときもある。

ラジオラジオラジオ(加藤千恵)

ラジオラジオラジオ: 地元のラジオ局のパーソナリティを始めた高3女子2人は、進路の違いからぎこちなくなる。せつない。 青と赤の物語: 物語の禁じられた世界で、中学生の男女が図書館の地下に眠る物語に初めて触れ、親殺しや自殺を思いとどまる。

彼女の恐喝(藤田宜永)

大学四年生の圭子は六本木のクラブで生活費を稼ぎながら出版社への就職に苦労していた。台風の接近により停電した中を帰宅中にクラブの客の国枝が人を殺していたのを目撃し、恐喝に手を染めてしまう。出版社への紹介を餌にする男や同郷の男にも付きまとわれ…

蝶の羽ばたき、その先へ(森埜こみち)

始業式の朝に突発性難聴にかかり、左耳の聴力を失った結は、唯一の家族である母にそれを伝えられるまで一か月かかった。むろん、クラスメートに打ち明けるのは難しく、無難に日々を過ごすことにだけ気を取られていたが、手話との出会いで希望が生まれる。 涼…

海のカナリア(入間人間)

殺しあうほど好き。一度殺しただけでは物足りないというラブコメ。多重人格者の人格どうしがイチャついたり、生み出された人格のモデルが実在の異なる時期から取り込んだものだったりと、何か別の話にも使えそう。

催眠ガール(大嶋信頼)

術についてではなく、呼吸を合わせることで気が通じる話。小説にしたのはもったいない。

5秒後に意外な結末 パンドラの赤い箱(桃戸ハル)

2ページずつのショートショート100連発。イラストも効果的でサクサク進む。

にだんベッドだいすき!(ほそいさつき)

新しい二段ベッドをめぐり、兄妹が最初は上の段を取り合うが次第に相手のことがきになり思いやりの心を育むきっかけになる。 児童書には当たりはずれが大きくギャンブル的な要素がある。当たりはずれと言ってもコスパや面白さではない。心に響くもの、考えさ…

姑の遺品整理は、迷惑です(垣谷美雨)

マンションで一人暮らしだった姑の遺品整理を一人で担うことになるも、想定外の遺品整理の困難で途方に暮れる。孤立無援と思われたが少しずつ周囲の助けを借りられるようになっていく。ミステリー要素もあり、楽しみながら読める。まずは自分から身軽にしな…

恋と禁忌の述語論理(井上真偽)

黒髪ロングのアラサー独身美女で論理オタクの叔母が解決したはずの殺人事件の真相を証明してく。最大のトリックは・・・。ラブコメ風味のラノベらしい設定で論理学も学べる。

きょうなにしてた(はまのゆか)

親が子を思い、子は親を想う。家族を思う大切さに気付く。

その可能性は既に考えた(井上真偽)

人里離れた山中で新興宗教団体が集団自殺し、一人の少女だけが生還する。探偵はすべての可能性を否定し、推理合戦の末、仮説をことごとく崩していく。そして事件が「奇蹟」であることを証明しようとする。 中国語満載の出だしがきついが、そこさえ乗り越えら…

探偵が早すぎる(井上真偽)

キャラの濃い探偵が出てくる作品は面白。殺人事件が起こる前にトリックを看破し、犯人を特定してしまう探偵と言う時点で面白くないわけがない。ミステリーというよりはサスペンス寄りで楽しめる。もちろんどんでん返しつきで。

彼女の色に届くまで(似鳥鶏)

自分の画才は本物だと勘違いした高校生が学校の昇降口で出会った少女の才能に驚く。彼女の才能は油絵だけでなく、どこでも寝られることと、絵画にまつわる不可解な事件をあっさりと解いてしまうこと。だが彼女は画家としては致命的な過去を持っていた。 ラブ…

IT MIGHT BE AN APPLE

ふと見つけたリンゴ1個からここまで想像が広がるのかと驚くばかり。まさに可能性は無限大。終盤では想像力を逞しくすることに留まらず、実行に移すことで結果が得られることも示唆している。

すみれちゃん、おはよう(ばんひろこ・丸山ゆき)

児童書だからといって子ども扱いしてはいけない。構成もしっかりしているし、読者を引き込む。しかも手軽に読める短い読み物。

僕らのごはんは明日で待ってる(瀬尾まいこ)

中学生のときに兄を亡くし、こじらせ系ぼっちになった良太が高校の体育祭準備で天真爛漫な小春に声をかけられてから時間が動き始める。二人の距離は近づくが非常な宣告が下される。ほんとうに「神は乗り越えられない試練しか与えない」のか。