きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

夢より短い旅の果て(柴田よしき)

 四十九院香住は、大学入学と同時に「鉄道旅同好会」の扉を叩いた。根っからの鉄道好きが集うこの会に入部して、三年前に起きたある事件の真相を探りたいという切実な動機があったのだ。こどもの国線氷見線飯田線、列車に振られ、旅先で出会った人々と話し、土地の名物を味わううち、鉄道に興味のなかった彼女が、ゆっくりと変わり始める。読めば旅に出たくなる、叙情豊かな鉄道ミステリ第一弾。解説・有栖川有栖

 

 四十九を毎回「つくも」と読んでしまったが何度も出てくるたびに確認し、「つるし」にやっと慣れた。大月から富士急行線で少し行ったところに都留市駅があり、以前都留市駅からリニア実験線の下をくぐって初狩駅まで歩いたことがある。私にとっては四十九院香住は山梨出身のイメージである。

 親しくしていた叔父が失踪していまい、七年が経過する前に探し出したい。そのため、叔父のいた大学のサークルに入るところから物語が始まる。アニメ化された米澤穂信の小説を思い出した。不自然な偶然があったりもするが、意外などんでん返しも用意されて楽しく読めた。

 小ネタも多く紹介され、実際に乗ったことのある路線が出てきて、もう一度訪れたくなった。第二弾も楽しみである。