きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

大地のゲーム(綿谷りさ)

「太陽や月さえ死ぬのなら、私がかなうはずもない」

 

 二十一世紀終盤。かの震災の影響で原発が廃止され、ネオン煌めく明るい夜を知らないこの国を、新たな巨大地震が襲う。第二の地震が来るという政府の警告に抗い、大学の校舎で寝泊まりを続ける学生たちは、カリスマ的リーダーに希望を求める。

 

 主要な登場人物のほとんどに名前が付けられていない。舞台がどの国のどの地域かという設定も明かされていない。エネルギー不足ではあるが、分単位の地震予知ができる時代でのできごと。1年以内に巨大地震が来ることも分かっている。移動制限がなく、移動手段があれば避難をすると思われるが、なぜか大学に残る若者たち。無力な自分に気づき、他人に希望を求めるが打ち砕かれる。迷いも苦しみもすべてが生きている証。私たちはどこへでも行ける、望むかぎり、力の続くかぎり。