きまぶろ

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発達障害の子の「会話力」を楽しく育てる本(藤野博)

 テクニックに頼らず、発達障害の子の会話力をつけることを詳しく解説してある。ASDADHD、LDのタイプ別に対応の仕方が具体的である。特にASDの子について詳しい。

 よくあるテクニックも書かれているが、テクニックは場面が限定されている。どんなに対人スキルの理解度が上がっても、はじめての場面や体験、突発的な出来事などでは混乱してしまう。テクニックは参考程度にとどめて、子供が会話を楽しんだり、リラックスできることが目標となる。

 

ASDの子は細部に目が向きやすい。会話では話すことに集中してしまい、相手の受け答えを聞かない。表面的な言葉尻だけを捉え、相手の意図を察するのが苦手。相手との距離感をつかみにくい。そして、話しかけても失敗するという気持ちから、独りで黙っているのが気楽と感じるようになる。

 最初に指示された予定を絶対的な基準と思い込みやすい。常識の理解不足もある。人を傷つける表現や非人道的表現などタブーも理解不足である。やり方にも言い回しにもこだわりが強く相手に合わせるのが苦手で、周りの子にも合わせてもらえず楽しめない。

 

 育ちにくい認知機能:

 ・実行機能:場に合わせた適切な行動

 ・中枢性統合:視覚、聴覚などからの情報の取捨選択

 ・心の理論:自分や他人の心の状態を読む

 

 発達度を確認する課題として、サリーとアン課題、スマーティ課題、ジョンとメアリー課題、「罪のない嘘」課題、妨害と欺き課題の5つの課題で実験をした結果、ふつうは小2で85%が正解した。ASDの子は小2で45%、小3で65%、小4で80%だった。私もASDの子はサリーとアン課題などが正解できないと誤解していたが、正解できないのではなく、ふつうの子よりも遅いというだけのようだ。

 

 周囲の人も言葉を大切にし、「あれ」「しっかり」などと曖昧に言わない。親から見ると不安だろうが、趣味や、今できることをベースにする。無理に変えようとしない。できていないことを、練習でできるようにしても形だけである。友人に話しかけたい、正しい質問の仕方を知りたいなど、本人がやりたいこと、必要だと感じていることを課題にする。子供が落ち着いているときに頼み方を一緒に確認するなど、困ったときに人を頼るコツも教えておきたい。