きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

日経サイエンス 2018年4月号 量子コンピュータ

今号で気になった記事は3本。 

 

量子コンピューター最前線

 2018年中にはIBMGoogleが50量子ビット級のチップ計画。数年以内には50~100量子ビットのマシンの予定。これにより、現在のコンピュータ能力を超えると思われる。

 量子コンピュータの最大の弱点はエラーで、大規模計算の実用は20年以上先になる。量子的な重ね合わせは観測することにより壊れ、偶然により選ばれた1つの状態だけが現れる。量子ビットは極めて脆弱で、周辺の環境がわずかに揺らぐだけで、情報が外に漏れ、環境に「観測」され、重ね合わせが壊れてしまう。量子ビットを周辺環境から隔絶して重ね合わせを守りつつ、量子ビットどうしは相互作用をさせて計算を進めなくてはならない。

 量子ビットの寿命は1999年には1nsだったが、2017年には100μsにまで伸びた。

 量子コンピューターには主流となっている超伝導方式の他に、光コンピュータ、イオントラップ式がある。

 

・サイエンスはとても易しい学問

 サイエンスは原因と結果の関係を合理的に矛盾なく結び付けていく、論理的であいまいさのない考え方。一度コツを飲み込めばとても易しい。だが、苦労なしに何でもわかるわけではない。「全体・諸要素・要素間相互関係」を三位一体と見る。対象の切り出し方、必要に応じた対象のスコープ拡大もコツのひとつ。

 

・糖尿病と戦う新戦略(Operation:Diabetes)

 もともとは減量目的で消化管の表面積を減らすバイパス手術で、2型糖尿病に効果が確認された。これは手術による減量の有無とは無関係だが、原因は特定できていない。可能性としては、迷走神経、腸内細菌、胆汁酸、消化管ホルモン、グルコース輸送の5つの原因が考えられている。

 

今号の英語:

duodenum :十二指腸 (duodecim:ラテン語で12)

hygiene hypothesis:衛生仮説

regulatory T cell:制御性T細胞(Tレグ)

brain stem reflex:脳幹反射

somite:体節(脊椎動物の発生で中胚葉に表れる分節)

peptic ulcer:消化性潰瘍