きまぶろ

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第一人者が明かす 光触媒のすべて(藤島昭)

 酸化チタンに光を照射すると水から酸素が得られることを発見した著者による、光触媒のしくみ、用途などの解説。

 

 酸化チタンの光触媒反応は強い酸化分解力と超親水性による。酸化分解力はあらゆる有機化合物を二酸化炭素まで酸化し、水をも酸化してしまう。これらの特長を活かし、抗菌、抗ウイルス、防汚、防曇、脱臭、大気浄化、水浄化へと実用化されている。

 酸化チタンに光を照射すると価電子帯の電子が伝導帯へと励起し、あとには正孔が残る。この両者が固体中で電子を運ぶキャリアとなる。他の半導体と異なり酸化チタンのキャリアはマイクロ秒レベルの長寿命である。

 酸化チタン研究の今後の柱は大きく3つある。1つめは、太陽エネルギーを変換して水素を得ること。2つめは、有機合成反応に利用し、人工光合成を目指すこと。3つめは、すでに多方面で実用化されている環境浄化触媒について。