きまぶろ

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偉人たちのあんまりな死に方(ジョージア・ブラッグ)

原題:HOW THEY CORAKED The Awful Ends of the Awfully Famous

 欧米の19人の偉人の死について、単に死因だけを挙げるのではなく、どのようなプロセスを経て死に至ったか、また、遺体の取り扱いについても生々しく述べている。故人や遺族の意思に反して切り刻まれ、遺体の一部が持ち去られ、盗まれてることにも触れている。グロテスクな内容ではあるが、著者のユーモアあふれる表現のため悲痛感はそれほどでもない。

 19世紀までの西洋医療の場合、入院すると半数が死んだという。病気の原因は悪い血が流れているからで、身体から血を抜く「瀉血」という残虐行為が一般的だった。体調が悪化して医者にかかると血を抜かれ、ほぼ数日で死に至ったのである。病気の治療法をおろか、原因すらわかっていない時代だったので仕方がない。当時の日本をはじめとした東洋医療とは対照的である。どちらが優れているというわけではない。医療が進んだ現代でも治癒の難しい病気を罹ると、薬漬けになり医療機器に繋がれてしまうことも多い。終わりの見えない長い時間を病院で過ごすのと、瀉血により数日で命を落とすのとどちらが良いのだろうか。

 他には、ツタンカーメンの賞でのミイラの様々な使い方、発見者のカーター自身も盗掘者にすぎなかったこと、アインシュタインの最後の言葉。モーツァルト、ベートーベン、ポー、ダーウィンの章も印象的だった。