きまぶろ

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日経サイエンス 2018年5月号 暗黒物質

今月号は暗黒物質と仮想通貨についてわかりやすい。

 

暗黒物質

 暗黒物質の最有力候補だったWIMP(weakly interacting massive particles)は存在の兆候も発見されず、アクシオン、ステライルニュートリノ、原始ブラックホールなど他の候補を探す動きが進んできている。

 宇宙は暗黒エネルギー68%+非バリオン物質(=暗黒物質)27%+バリオン物質5%で構成されている。

 ニュートリノは飛行中に他の種類のニュートリノに変化し、「ニュートリノ振動」と呼ばれる。反ミューニュートリノから反電子ニュートリノは数百kmの飛行が必要だが、30m程度で変化したことが観測された。これは間にステライルニュートリノを挟んだ可能性もある。

 この世界にある4つの力は粒子の持つチャージに反応して働く。電磁気力のチャージは電荷、重力のチャージは質量、弱い力のチャージは弱荷、強い力のチャージは色荷。

クォーク電荷、質量、弱荷、色荷を持つ。

電子、タウ粒子、ミュー粒子は電荷、質量、弱荷を持つ。

3つのニュートリノは質量と弱荷を持つ。

ステライルニュートリノは質量のみを持つ。

ステライルニュートリノは質量しか持たないため、他のタイプのニュートリノとの変換でしか検出ができない。

 宇宙誕生直後の微小な量子ゆらぎがインフレーションで拡がり、その後1秒以内に重力崩壊でブラックホールの集団が生成した可能性があり、これを原始ブラックホールと呼ぶ。LIGOで最近確認された重力波も、こういったブラックホール同士の衝突による重力波をとらえた可能性が高い。

 

・仮想通貨の科学

 ブロックチェーン技術を用いさまざまなタイプの仮想通貨が使われている。

 ビットコインでは、取引は毎秒7回まで、記録処理に大量のエネルギーを消費する、マイナーが集まり組織を作り、51%のノードを支配するとビットコインシステムをコントロールできてしまう、貨幣の定義に当たらない、現実世界での担保がない、パスワード(秘密鍵)を忘れると回復手段がない、トランザクションの秘匿性に問題がある、通貨の価値が下落するとマイナーが撤退し改竄体制が落ち最悪の場合はシステムが停止するなど問題点も多い。

 自分が持っているお金を、自分の好きに誰かに送ることを誰にも否定できない。そして中央の監視の外に出る。このような目的でブロックチェーンが使われているが、ブロックチェーンは技術であり、イデオロギーではない。場合によっては中央統制型システムの創造にも使えてしまう。

 デジタル個人情報の扱い次第で、人間の解放へと向かうのか、あるいは前例のない監視統制にもつながるのか、大いに道が分かれる。

 個人情報はたとえ暗号化されていても、分散台帳に記録すべきではない。数十年後には解読されてしまう。ビットコインは暗号化すらされていないし、より良いシステムが登場すれば、古いシステムは廃れる。

 

・今月の英語

 strong CP problem:強いCP問題

 quantum tunneling:量子トンネル効果

 primordial black hole:原始ブラックホール

 globular cluster:球状星団

 adrenalgland:副腎

 antidrug  antibody:kou:抗薬物抗体