とける、とろける(唯川恵)
妖しく性に奔放な9人の女性の短編集。背筋が寒くなるようなホラーめいた話もいくつかある。浅間情話が特に良かった。
収録作品
来訪者:心の穴を埋める男性がやって来るという話を聞くが、紹介してくれた人は入院してしまう。そして、ノックの音が。
みんな半分ずつ:すべて分け合ってきた夫と別れる。お金も家具も半分ずつに分ける。夫の体さえも。子どもがいなくてよかった。
写真の夫:善良で穏やかで勤勉で退屈な夫。別れさせ屋にハニートラップを仕掛けさせるが、報告に上がる夫の様子は見たこともなかった。
契り:前世で遂げられなかった愛する人への思い。それは愛情とは正反対のものかも。
永遠の別れ:死ぬほどの快楽を味わうこと教えてくれた若い男。このままでは本当に死んでしまう。
スイッチ:痺れる快感のスイッチを入れてくれる男性が来なくなった。
浅間情話:軽井沢で寝たきりの妻を見舞う夫のところで身の回りの世話をする
白い顔:仮面の下の顔のさらに下はのっぺらぼうの顔
夜の舌先:相手と自分の髪を結んで不思議な香炉で燃やすと、夢の中でだけ愛し合えるという。