きまぶろ

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明るく死ぬための哲学(中島義道)

 二十歳で哲学に出会い、大人が教えてくれたこの世界を言葉で破壊できることを知る。わかったつもりになっている周囲の人に復讐したいと、五十年にわたり死について探求してきた著者が古稀を迎えた胸の内を明かした書。

 

 自分は圧倒的少数者であり、大多数の同胞とは感受性が異なる。自分が正しいと信じているうちはありとあらゆる戦いが辛いものだが、自分が正しくないどころか狂っていると自覚すると安堵する。同胞の感受性や信念からズレていて、誰も真摯に相手をしないとわかったとき勇気づけられる。狂っているなら仕方ないのだ。この感受性と信念を抱いたまま生きて、そして死ねばよい。

 

 第1章は尖った表現を多用しそして執拗に定型人との距離を広げていて小気味よい。筆者の勢いにつられて読み進めてしまった。第二章からは筆者の哲学的思考が述べられ難解な部分もある。