きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

いなくなれ、群青(河野裕)

 誰かに捨てられ、記憶をなくした人が集まる階段島。階段島にいる人々は一癖も二癖もあるが、皆何かを諦めたように暮らしていた。魔女が支配するこの階段島からもとの世界に戻るには本人が失ったものを見つける必要がある。階段島の人々は前の世界でのつながりがなく、みんな孤独。しかし例外もあった。島に来てから3か月後、「僕」は彼女と再会したのだ。

 ファンタジー世界の住人として、第二の人生を謳歌する住人がいてもいいとは思うが、事情が事情だけに難しいのか。それでも現実世界のルールや習慣にとらわれ過ぎている。学校になど通う必要もないし、寮に捉われる必要もない。仕事も無意味。無茶をしても死ぬことすらない世界なのに、無気力に支配された島。LIFOでドミノ式に解決とか主人公の夢落ちとか想像したけど、全然ちがった。いろいろ不可思議すぎて感情移入はできなかった。大半を占める主人公のモノローグがもたついていて、個人的にきつい。異世界に転生したら想い人よりも先にもっと考えることがあるはずだし、五感を体を使ってやることもあるはず。何より主人公らしくないし、男らしくない。いや、主人公は「僕」と表記されているが、男だとは明記されていないか。僕イコール男という固定観念LGBT的に問題だし。ガール・ミーツ・ガールの物語かもしれない。