きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

夏の裁断(島本理生)

 立食パーティで小説家の千紘が編集者の柴田の手をフォークで突き刺す。柴田に翻弄され支配され続けたことが原因だった。千紘は仕事を離れ祖父の残した鎌倉の古民家に越し、一人で祖父の蔵書を裁断し自炊する生活を始める。鎌倉でいろいろな男を知り、足元が不安定ながら徐々に傷を癒し自分を取り戻していく。

 

 依存し翻弄され突き放される。そういった最悪の状況から立ち直るのは一筋縄ではいかない。だが、千紘の一人称で語られる心情や、その心情を映す情景が豊かな表現で描写されている。