きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

境内ではお静かに(天祢涼)

 大学を中退し自分探し中の壮馬は兄夫婦が神職を務める神社で働くことになり、神社に住み込むアイドルのようにかわいい雫が壮馬の教育係となった。雫のふだんの冷たい表情と参拝者に対する笑顔のギャップもさることながら、謎を解決する能力も一味違っていた。

 よくある連作ミステリー短編集のつもりで読んでいたら、終盤で驚かされた。全編に埋め込まれた伏線を回収しながらどんでん返しが続く。雫の心の闇も明らかになり、壮馬も決断を迫られることになる。読みながら違和感を感じる部分が多く、作風なのかメッセージなのか首を傾げる部分もあり、ハラハラさせられた。だが、そのほとんどが伏線として回収され満足している。もう一度読み返してみたい。