きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

青の炎(貴志祐介)

 湘南の高校に通う高校生がDV親父を殺す完全犯罪を実行するが、綿密な計画が次々と綻び、とうとう同級生も殺す羽目になる。きっかけはDV親父の魔の手から母と妹を守るため。そして、最期もまた母と妹のために決意する。

 倒叙ミステリーとも呼ばれるジャンルの作品。犯人の側から描くので小説として面白い。身近に相談できる人もなく、それなりに知的・身体能力さらには行動力もあったため、メンタル的に人殺しには向いていないのに父を殺してしまう。露見しなくても精神的に追い詰められていただろう。完全だと思っていた計画が少しずつ綻んでいく様はホラーだ。

 かなり前に購入して積んであった本。タイトルからは炎の能力者が力を発揮するイメージを受けた。

 倒叙もので完全犯罪が成功する作品が少ないのは残念である。