きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

もしも宇宙に行くのなら(橳島次郎)

 なぜ宇宙に行くのか。誰が行くのか。男女の比率をどうするか。地球外環境に適応するための人体改造は是か非か。AIやロボットの支援をどこまで受け入れるか。肉体の制約を脱し精神存在に進化するのか。知的生命体と遭遇したらどうするか。これらの問題は真面目に取り上げると、現実にすでに地上で起こっている問題をほり広い視野から考え直すことに繋がる。

 前半は現代社会の諸問題につなげている感があるが、終盤で宇宙に進出する意義を語り、広い視点で地球を見つめ直すことの重要性に気づかされる。日本人はフランケンシュタインコンプレックスがないためロボットやAIとの親和性も高いし、同調性のため宇宙での閉鎖空間に適している面もある。

 地球は50億年後には太陽に飲み込まれて消えるし、今から10億年後には太陽の膨張で海水が干上がるし、恐竜を滅ぼした10kmサイズの巨大隕石は1億年に1個は落ちてくる。これらのどの事象であっても人類文明は終末を迎える。日本に限ってみても、南海トラフ巨大地震は百年ごとに起きる。九州のカルデラ噴火は1万年以内に複数回発生し犠牲者は1.2億人という試算もある。いずれにせよ今ある大地は永遠に寄って立つ大地ではない。地球の外に意識を向け、宇宙から地球を見つめ直すことで自分の目指す生き方を問い直す人が増えてほしい。