日経サイエンス2019年3月号 太陽 5年で世界を変える10の科学技術
・意志を生む脳回路
エイリアンハンド症候群、無動性無言症などの研究から、ヒトの自由意志をもたらす要素の一つである「運動の意図と行為主体性」は、楔形部と前帯状皮質を中心としたネットワークに関連があることがわかった。自由意志を司る脳部位とその働きの解明に近づいたとも言える。
・芝生は環境に優しくない。
芝生は人工物であり均質で多様性が低く、乾燥地域では保全に大量の水を必要とする。芝生に代わり、地域の植生と整合性の高い緑化が望まれる。
・古文書のオーロラ
太陽の表面からは無数の磁力線が出ていて、一部は束になり遥か上空まで持ち上がりアーチを形作る。アーチの高さは数万kmにもなり、中に地球が10個単位で入る。アーチの根元ではプラズマの対流が妨げられ、太陽の表面温度が下がり黒点となる。黒点は太陽活動が盛んなほど数も増え大きくなる。
多数の磁力線アーチの間で磁気リコネクションが起きると太陽フレアとなる。太陽フレアは8分19秒後に地球に到達する。また、磁気リコネクションでアーチ上部が切り離されるとCME(コロナ質量放出)となる。CMEは志向性が高く、たまたま地球方向に放出されると磁気嵐が地球を襲うことになる。
・5年後の世界を変える10の科学技術
マシン関係のAR技術、個人用AI、量子計算アルゴリズムに期待したい。医療関係では薬剤産生細胞の移植も面白そうだが、幹細胞から育てた食肉もさまざまな議論を呼びそうで楽しみである。動物を殺さず、環境も害することもなく安全で倫理的で安価で案的供給のできる食肉をヒトは食肉として受け入れられるのか。
私が生きている間にどれだけ実現が見られるか楽しみである。
・微生物の意外な協力関係
海生微生物は個体間の競争ではなく相互作用と協力が基本モードになっていることがわかってきた。