きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

その日、朱音は空を飛んだ(武田綾乃)

「世界は生きている人のためにある。人間は真実を曲げる権利がある」

 

 校舎の屋上からひとりの少女が飛び降り自殺をする。その瞬間を見た友人やクラスメイトもいて、偶然それを撮影した動画も拡散するが、不自然なことが多い。いじめを苦にした自殺でもないし、ましてや他殺でもない。少女はいったいなぜ死んだのか。

 

 章ごとに7人の関係者が一人称の語り手となり、事件前後に触れる。1章の男子はばっさりといらない宣言されてるが、読者を惹きつける役は十分に果たしている。学年トップの子の行動力と判断力がまるで異次元。学力優秀のラベリングは要らない気もするが、わかりやすさ優先と考えよう。一人一人の本音がリアルですばらしい。