きまぶろ

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生物学キーワード事典(垂水雄二)

確かに五十音順の用語解説なので事典とも言えるが、実際は最近の研究成果を踏まえた読み物である。五十音のそれぞれが1項目ずつ、つまり全50項目程度である。何よりも面白いのは、頭→遺伝子→運動→エネルギー→温度のように、つぎの項目へバトンを渡す際に関連付けがなされていること。牽強付会な渡し方もあるが、ごく自然で気づかないのもある。事典を通読したのは初めてだ。巻末の読書案内も詳しい。敢えてケチをつけるとしたら、最後の「和名」から「頭」へループするくだりが欲しかったくらい。

 

天動説は主観、地動説は客観であり、どちらが正しいというわけではないというのを佐藤優の本で読んだが、学名の変更についても類似点がありそうだ。

生物としてのヒトの生き残りに直結し、主観的直観的に分類していたのが今までの学名で、遺伝子的進化的な観点から学名を改める方向に動いている。学術的にはそれで正しいのだろうが、専門家いがいの一般人にとってはわかりにくくなってしまう。