きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

トリガー(いとうみく)

「こんなに笑えるのなら死ぬ必要なんてないような気がする。それとも、死ぬって決めたから笑えるのだろうか」

 

小4のときに仲良しの友だちに取り返しのつかないことをしてしまったと後悔している音羽(とわ)は他人の微妙な問題に踏み込むことを恐れ見て見ぬふりをするようになり、中学入学直後に親友となった亜沙見のSOSも避けてきた。しかし、歳の離れた親しい姉が亡くなってから亜沙美は人が死ぬことを頻繁に口にするようになり、とうとう亜沙美が行方不明になってしまう。今度は後悔したくないと音羽は決心する。

 

思春期少女たちのよくある悩みや不安を描いているように話が進むが、中盤で亜沙美から伝えられる衝撃の事実にガツンと頭を殴られる。クラスメイトの男子にかけられた言葉が、凶暴化した音羽の心にいろいろなものを気づかせてくれた。これは惚れて当然だろうが、本編では語られない。音羽の母親の対応も素晴らしい。何度も読み返したくなる。