いい親よりも大切なこと(小竹めぐみ、小笠原舞)
副題 こどものために「しなくていいこと」こんなにあった!
現場の保育士の目線から、不安を抱えるママに贈る本。写真で紹介されている遊びも参考になる。
「いい親にならなきゃ」という考えは時には自分と子どもを追い詰めてしまう。手を抜いても大丈夫。大人が手を掛け過ぎなくても、子どもはちゃんと成長する力を持っている。
(1)子育てが楽になるたった6つの「しない」こと
大人は子どものために先回りしがち。教えたい気持ちをぐっとこらえて見守ろう。試行錯誤をしながら子どもは自分なりの答えを見つけていく。それが正解でなくても構わない。子どもの内側から湧いてくる探求心や行動力を抑え込まない。
「もっともっと」は切りがなく、気づくとキャパを超える。「いい親」なんてただの思い込み。子どもと自分の今を否定せずに受け入れる。生活リズムに縛られない。やれなかったことは手抜きではなく、今日できることをやったベストな結果である。
いつも笑顔でいる必要はない。自分の気持ちに蓋をすると、自分の気持ちに気づけなくなる。
子育てに軸はいらない。夫婦で意見が違うのは当たり前。人の数だけ正解があると子どもも気づける。
(2)遊びを子どもが楽しむために
名前のついた、よくある遊びだけが遊びではない。子どもが夢中になり集中していることのすべてが遊びになる。
親はエンターテイナーではない。親が提供し続けることで子どもが自分から楽しむ力を失ってしまう。
子ども向けばかりを選ばない。選択肢も増え、接し方のバリエーションにもつながり、ママが楽になる。「理由はないけど何だか好き」というのは後の学び、趣味、仕事につながる。
元気に楽しくばかりが遊びではない。遊びには静と動がある。静は夢中になり集中力、想像力を高め、達成感を味わえる。例えば、はがす・書く・積む・つまむ・押す・並べる・集める・混ぜる・重ねる・貼る・引っ張る・取る・落とす・聞く・覗くなど。
おもちゃ売り場だけでおもちゃをえらばない。遊び方が決められているものは飽きやすいし、想像力がはたかない。
子どもの遊びを止めない。一見何をしているのか理解しがたい動きでも、大切な行為の最中かもしれない。子どもは急には止まれない。2歳までは時間や記憶の力が未発達で、遊びをリセットされても気にしないが、3歳になったら達成感を壊さないようにしてあげたい。
(3)関係性がもっとよくなる。コミュニケーションの4つの「しない」コツ
言葉だけに頼らない。手を繋ぐ、抱きしめる、くすぐる、膝に乗せる、キスする、見つめ合う、あいさつする、名前を呼ぶなど、コミュニケーションは幅が広い。
否定語は使わない。子どもには伝わらないし、自尊心も傷つく。否定や命令はせず、気持ちに共感し、大人の気持ちも伝えるようにしたい。
×「走らない」 → ○「歩こうね」
×「~しなさい」 → ○「~しよう」「~してみる?」
×「泣かないの!」 → ○ 「悲しかったんだね」
×「いい子にしなさい」 → ○ 「その方が、ママうれしいな」
「ダメ」「もう知らない」「嫌い」という言葉を聞くと、子どもは大人がかんがえるより深く傷つく。つい言ってしまったら、「今の言葉、言いすぎちゃった」と素直に認める。あるいは「ママ、いま怒っているね。少し落ち着かないと」と気持ちを口に出す。
子どもの話を「聞く」のではなく「聞き切る」ようにする。わかった気になって話の主導権を奪っていると、子どもは大事にされていないと感じる。言い訳には本心が隠れていることも多いので、きちんと聞いてあげる。日常のささいなことでもいいので親が自分のことを子どもに話すと、子どももそのうち話してくれるようになる。
子どもの言動をそのまま受け止めない。
「ママ、絵本読んで」→絵本を通じて、ママに甘えたいだけかも。読んであげられなくても大丈夫。
「パパ、サッカー行こう!」→サッカーが上手くなりたいのではなく、パパと一緒にいたいだけかも。
(4)親子関係がよくなる、すぐ取り入れたいしつけ
理由なきしつけは親のエゴ、押し付け。
子どもは言葉の力が未熟なので、言葉だけに頼らない。
伝え続ける
その時、その場で
静かに話せる環境で
触れながら
小さな低めの声で
しつけは叱ることではない。気持ちを受容し、事実を理解、解決策や提案を出し、向き合えた時間を認めるようにする。
「そのブロックで遊びたかったんだね」
「お友達の顔を見てごらん。どんな顔してる」
「お友達がブロックを使っているときはどうしたらいいかな」
「ちゃんとお話ができたね。正直に話してくれてありがとう」
「すごい」「えらい」「うまい」に頼らない。褒めるよりも認める。目の前の事実を言葉にする。
(5)「しない」子育てで、ママも子どもも幸せに
子どものためのママともはいらない。
自分の「好き」を見失わない。理由はないけど何だか好きというのは自分らしさそのもの。すきなことに夢中な大人の背中を子どもに見せたい。
普通の人間や完璧な人間はいない。人は凸凹で、努力しなくてもできてしまうこと、得意なこと、好きなことがある一方で、努力してもなかなか上手にならない、やる前からくじけてしまいそうなこともある。自分自身の強みや弱みを含めた特性に気づき受容することで、他者の持つ塔区政をも受容できる心が作られていく。
「先生ね、ピアノが上手に弾けなくて、間違えるから困っているんだ」
「大丈夫だよ先生」「ぼく、歌をもっとがんばる」
先生の役割はピアノを上手に弾くことではなく、子どもたちが楽しく歌を歌うサポートをすること。これはママも同じ。凸凹を活かしあえる関係性を作りたい。
最期に、
「いいママになりたい」
「大丈夫。もうちゃんといいママだよ」