きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

図書館の神様(瀬尾まいこ)

「神様のいる場所はきっとたくさんある」 バレー部キャプテンだったときに部員の自殺から未来を諦めた清(きよ)は、1年限りの講師として雇われた高校で文芸部の顧問を務める。一人だけの文芸部員とのかかわりを通して、傷ついた心を癒していく。 文芸部の…

ゆきの山荘の惨劇(柴田よしき)

クローズド・サークルもの。ただし、「雪の山荘」ではなく「ゆきの山荘」である。盗作疑惑に関わった可能性のある作家と編集者たちが「ゆきの山荘」に集まる。がけ崩れで下山できない状況で連続変死事件が起こる。猫探偵正太郎が事件を追う。 猫も賢くなった…

魚だって考える(吉田将之)

「こころの生物学」を研究する広島大学教授による、魚のココロについての本。学生に研究テーマを割り振る際に、特技を生かしてもらったり、そのテーマの意義について理解してもらったりと、教育者としても好感が持てる。 以下は面白かったところ。 人間にと…

ココロ・ファインダ(相沢沙呼)

高校写真部の4人の女の子が抱えるそれぞれの思いを、毎回一人に焦点を当てて描いた連作集。それぞれに悩みながらも前を向いて進もうという気持ちになっていく。 カメラ関係の用語もよく出てきて勉強になる。 章立て: コンプレックス・フィルタ ピンホール…

君が夏を走らせる(瀬尾まいこ)

底辺高校に通う不良上がりの男子に先輩からの突然のバイトの誘い。先輩の奥さんが二人目の子の切迫早産で入院している間の日中に、1歳10か月の鈴香の世話をするという内容だ。言葉もまだで、ずっと泣き通し。コミュニケーションも取れない状態の鈴香の世話…

仮面の君に告ぐ(横関大)

歯科医師の慎介と歯科助手の和沙は結婚を控えていたが、和沙が何者かに殺害される。慎介は生活を投げ打って犯人捜しをする。一年後、事故で寝たきりの千鶴の体に憑依した和紗が目を覚ます。戸惑いながらも和沙は慎介に近づいていき、自分の腕時計の日付が憑…

日経サイエンス 2018年2月号 AIの新潮流

今号で気になった記事は2つ。 ・こどもの脳にまなぶAI (Making AI more Human) 学習には主に2つのアプローチがある。ボトムアップ方式は知識のない状態から大量の情報をもとに特徴を抽出する方法で、AIではディープラーニングなどの機械学習にあたる。トッ…

陰獣(江戸川乱歩) 春陽堂

探偵小説作家の「私」のところに小山田静子が訪れ、ストーキング・脅迫の被害に遭っていると訴える。かつての恋人が探偵作家となり静子に復讐しようとしているのだと言う。 「陰獣」ではなく「淫獣」とも言える。一人二役のトリックがあるが、単純な一人二役…

赤い月、廃駅の上に(有栖川有栖)

超自然な10の鉄道短編集。よくある短篇よりも短く、スキマ時間で簡単に読める。紙質も雰囲気があって良い。 いちばん短い「貴婦人にハンカチを」がいちばん面白かった。「黒い車掌」も良い。貴婦人に貴婦人やら、パノラマビューにパノラマ視やらの言葉遊びも…

進化の教科書 第3巻 系統樹や生態から見た進化(Carl Zimmerほか)

2013年のEvolution: Making Sense of Lifeを訳したものである。新刊で見かけたので手を出した。3分冊の最終巻で第9章から13章まで。1、2巻を読んでいなくても何とかなるが、時間を見つけて読むつもりである。 第9章 系統樹 第10章 遺伝子の歴史 第11章 …

認知バイアス

認知バイアス(英: cognitive bias)とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である。(wikipediaより) ・確証バイアス(追認バイ…

江戸川乱歩と横溝正史

江戸川乱歩と横溝正史の二人の推理作家の歩みを辿りながら、日本の探偵小説の歴史を紐解いている。乱歩は戦前から次々と事業を起こしている。事業自体は成功するが、本人が飽きて長続きしない。戦後は業界を牽引し、まとめ役となり、探偵ものを書く時間が取…

茅葺きの民俗学(安藤邦廣)

日本建築学会奨励賞(第一回) 茅葺きの家を見てノスタルジーを感じたり、消えゆく伝統文化を守るなどではない。どのような仕組みで葺き替えをしていたのか、生活の場として茅葺きの家で暮らすとはどういうことかを、地域ごとの違いも踏まえて写真と図、資料…

海に沈んだ大陸の謎(佐野貴司)

本書は、ムー大陸伝説を地質学的に検証するというかたちで地学の基礎から説明し、大陸と海洋底の違いや、地球の歴史における大陸の成長史などについて解説していきます。そしてタイへようの海底に存在する巨大海台とは何なのかについて考えていきます。さら…

何も持たず存在するということ(角田光代)

「彼はただ、彼自身だった。花が美しさを誇示せずそこにただ在るように、彼は自分自身として、いたのである」 日経、朝日、毎日、読売新聞などのコラム等を集めたエッセイ集。ひとつひとつがとても短く、気軽に読める。タイトルの「何も持たずに存在するとい…

リバース&リバース(奥田亜希子)

冒頭のページは女子中学生の悩み相談とその回答。相談の内容は同性の女子に告白され気持ち悪く、どうしたらいいかというもの。 女子中学生向けのファッション誌で悩み相談の回答を担当する男性編集者、地方の小さな食品店で祖母の店を手伝う中学生の物語が交…

城下町の不思議と謎(山本博文)

東大史料編纂所の教授が監修した本で、古地図と現代地図を比べて解説されている。第一部は天下人の城下町として、江戸城、名古屋城、大阪城。第二部では現存する天守のある城下町、第三部では、一度は見ておきたい城下町が紹介されている。最後に第四部で、…

タイムマシンでは行けない明日(畑野智美)

「一人でいることも大事だと思うけれど、その自分を肯定して、寂しいことに慣れないでほしい」 タイムマシンの関わる小説は世界の方向性を大きく変えるものが多いが、この作品では世界を変える発明品としては使われていない。世界線の移動が副作用になってい…

子どものいない人生の歩き方(くどうみやこ)

第一部 子を生まない女性との関わり ・男性と違い、女性の人生は既婚、未婚の区別よりも、子供の有無のほうが、自分の人生に与える影響が大きい。 ・子を生まない女性のロールモデルが少ない。 ・多様な生き方を求める動きはあるが、固定観念や偏見から解放…