きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

そのイタズラは子どもが伸びるサインです(伊藤美佳)

幼児期の子のいたずらには能力を伸ばすチャンスが隠れている。夢中になれるおもちゃに出会うと子どもは変わる。言うことを聞き、手のかからない子だと助かるが、一方でそういう子は成長後も自分からは動けない子になりがちである。手指を使うイタズラをしてこなかったために何事にも不器用になり、脳の発達も妨げる場合がある。失敗したときが教えるチャンス。叱るのではなく解決方法を一緒に考えたい。

つまむ、引っ張る、いれる、ひねる、まわすなど、幼児期の子どもが夢中になれる具体的な遊びを紹介している。材料も百均で手に入るものばかり。イヤイヤ期の子どもを持つ家庭でも役に立つ。

教室が、ひとりになるまで(浅倉秋成)

たて続けに3人の生徒が自殺した高校で死神のコスプレをした女子に脅され美月は不登校になる。美月の隣に住む友弘には「嘘を見破る能力を授けた」という差出人不明の手紙が届く。誰かのいたずらだと思っていたその手紙の内容が真実だと気づいた友弘が能力を使って3人の自殺の真相を暴こうとする。他に3人の能力者がいてそれぞれ異なる能力を有し、その能力は学校内に限定されること、能力が消滅する条件、能力の引き継ぎについても書かれていた。

 

寝る前に読み始めたら面白くて一気読みしてしまった。よく取り上げられるチート級の異能だが、過去の受取人はそれをみだりに使わなかったということになる。

ある日突然リスクもコストもなしに異能を身に付けたらどうするか。世のため人のため、あるいは自分の欲望のために使うのもありだろう。発覚すればタダでは済まないというリスクはあるし、異能を使わずにいざというときのために切り札として温めておくのもありだろう。ノブレス・オブリージュとして、力を持ちながら使わないのは怠慢という考えもある。自分だったらどうするか。発覚しないのなら使うのだろう。何のために。それは異能次第かもしれない。

日経サイエンス 2019年5月号

頻繁に取り上げられる暗黒物質と暗黒エネルギーの話題。宇宙に存在する未知の引力が暗黒物質で、未知の斥力が暗黒エネルギー。どちらも存在が確認できたわけではなく、仮想のもの。暗黒物質は未発見の素粒子がいくつか候補に挙がっているが最新の実験でも確認できない。ならば、未知の引力などという考え自体が間違っている可能性がある。つまり重力理論を修正した「修正重力理論(modified gravity)」を使えば暗黒物質など必要なくなる。暗黒物質は幻だったのかもしれない。一方の暗黒エネルギーはさらに不可解で、「真空のエネルギー」とも呼ばれる。これが時間と共に変化する可能性も出てきた。

超弦理論によると余剰次元のパラメータとして真空が安定に存在しうる(=ランドスケープ)のは10の500乗種類も存在する。我々の宇宙もその一つかもしれない。逆に真空が安定に存在しないのをスワンプランド(沼地)と呼ぶが、我々の宇宙がスワンプランドではないと言えるのだろうか。

ジグソーパズル48(乾くるみ)

私立曙女子高等学院を舞台にした7つの短編ミステリー。どの短編もそれなりの数の登場人物がいて、なかなか頭に入ってこなかった。名前を覚えるのは諦め、ストーリーだけ追うことにした。そのせいか、最後のハチの巣ダンスは作者が意図した楽しみ方ができなかった。7つのうちでは「ラッキーセブン」「マルキュー」が面白かった。

「ハチの巣ダンス」は蜂の8の字ダンスと六角形を重ねた箪笥をかけているのだろう。役割を分担し、みんなで力を合わせて事を成し遂げるというのがマルキューもそうだが、女子高らしさが出ている。

乾くるみ乾ルカをよく間違えるが、乾くるみは「Jの神話」の作者。あちらも女子高が舞台。

すみれ屋敷の罪人(降田天)

 戦時中まで栄えていた旧紫峰邸から白骨化した死体が2体発見された。行方不明になっている2人の書生のものと思われる。遺体の身元を確認するために警察が動き始める中、つづいて3体目の白骨死体が発見される。