きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

その日、朱音は空を飛んだ(武田綾乃)

「世界は生きている人のためにある。人間は真実を曲げる権利がある」

 

 校舎の屋上からひとりの少女が飛び降り自殺をする。その瞬間を見た友人やクラスメイトもいて、偶然それを撮影した動画も拡散するが、不自然なことが多い。いじめを苦にした自殺でもないし、ましてや他殺でもない。少女はいったいなぜ死んだのか。

 

 章ごとに7人の関係者が一人称の語り手となり、事件前後に触れる。1章の男子はばっさりといらない宣言されてるが、読者を惹きつける役は十分に果たしている。学年トップの子の行動力と判断力がまるで異次元。学力優秀のラベリングは要らない気もするが、わかりやすさ優先と考えよう。一人一人の本音がリアルですばらしい。

 

いまさら翼といわれても(米澤穂信)

古典部シリーズの第6弾。

米澤氏の小説はいくつか読んでいるが、古典部シリーズを読むのは初めて。このあたりで一段落かと思えるあとがきがあるが、エピソードは追加できるだろう。アニメは視聴済みだったので、会話が声優の声で入ってくるのが面白い。

民間人のための戦場行動マニュアル(川口拓)

もしも戦争に巻き込まれたらこうやって生き延びる。

20世紀までのような国同士の軍事衝突に日本が巻き込まれる可能性は低いと考えられる。しかし、テロ組織などの攻撃は起こるだろうし、サイバー戦争はすでに始まっているとも言える。そのような中で民間人ができることはほとんどなく、自分の身を護る程度だ。これは予期せぬ災害やテロ、通り魔事件などに巻き込まれたときの心構えとしても有用である。運に身を任せるのではなく、危機管理を常日頃心がけたい。

 

「せんじょうこうどう」とタイプすると洗浄行動と変換された。戦場という単語が日常から遠く離れていると思い込み平和ボケしないようにしたい。

にぎっておいしいきほんのおにぎり(寺西恵理子)

おにぎりなんて、とりあえず握っていればいいんでしょ。そんな甘い考えを一掃する本。バリエーション豊かで今すぐ試したくなる。

こうして誰もいなくなった(有栖川有栖)

さまざまな中短編をまとめたもの。スパイスが効いていて楽しい。

 

館の一夜:実は彼女も知っていたというオチだと面白い。

線路の国のアリス:鉄道ネタ満載。アリスといえばちぐはぐな会話。

まぶしい名前:個人名にスポンサー名を挿入しキラキラ。

怪獣の夢:怪獣へと変身した経緯をくわしく知りたい。

盗まれた恋文:そうなるように仕組まれていたり。

こうして誰もいなくなった:こういうの大好きです。