きまぶろ

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宿場町旅情 写真紀行(清水康雄)

 全国の宿場町を大きな写真と詳しい解説で紹介している。

 一通り目を通したが、訪れることのなさそうな宿場町は読み飛ばしてしまった。知らないものを知りたい、美しいものを見たいという願望はあるが、自分と関係の薄いものには食指が伸びないのはなぜだろうか。

 個人的には奈良井宿郷原宿、妻籠宿、馬籠宿、大内宿に興味が出た。

 年号の誤りがいくつかあった。

 

奈良井宿

 木曽十一宿の北から2番目の宿で、標高930mの高地にある。日本最大級の330軒の町家がある。奈良井宿は明治の道路改修で国道からはずれたおかげ。1830~1848頃の家が多く残る。

 1968年に中村邸を川崎の生田緑地内の日本民家園に移設する話が持ち上がる。奈良井にあってこその中村邸ということで、官民学が連携して維持することになった。現在は資料館となっている。

 1978年には伝統的建築物群保存地区に指定される。電柱は地下化。

 出梁造り(だしばりづくり)で二階部分がせり出し、軒先がぶつかり合うようにも見える。一階の小屋根の猿頭、ねじれた吊り金具、二階には千本格子。間口は狭く、奥行きが深い。

 長泉寺はお茶壺道中の本陣。大宝寺には首なしのマリア像がある。

 木曽の大橋は橋脚を用いない橋としては日本一の長さ。樹齢250年~300年のヒノキによる総ヒノキ造り。

 近くに道の駅。鍵の手も残されている。

 

郷原宿(塩尻市広丘郷原

  北国西往還の最初の宿。脇往還なので原則的に大名は通らない。創設時23軒、最盛期でも72軒。1858年(安政5年)の大火で町は全焼したが、すぐに再建され、以降は大きな火事はない。

 間口6間、奥行き30~40間で、本棟造り。脇往還のため間口への課税がなく、他の宿と比べて間口が広い。屋根飾りとして「雀おどり」前庭には立派な木が植えられている。本陣や脇本陣はなく、山城屋(赤羽家)が本陣代わり。郷福寺(きょうふくじ)は明治13年明治天皇巡業時に、御小休所となった。水が乏しく、共同で深井戸を掘っている。近くに諏訪稲荷神社。

 

・屋号

 江戸時代に武士以外は名字を名乗ることが許されず、お互いを屋号で呼んだ。明治以降、苗字が義務になってからも、同姓の多い地域では屋号で呼び合った。音羽屋、高麗屋松屋松坂屋高島屋など、いまでも残っている者もある。出身地名や生業などを由来にして名づけた屋号が多い。

 

妻籠宿

 木曽十一宿で最も低いところ(標高420m)で、最も小さい宿だった。昭和51年(1976年)に初の伝統的建築物群保存地区に指定された。電柱もなく、テレビアンテナ、エアコンの室外機もない。日本で最初郵便ポストのスタイルである木製黒塗りの箱型ポストが残っている。島崎藤村の母の出身地。島崎家は本陣と庄屋を務めた。「売らない、貸さない、壊さない」の三原則で宿場町を保存してきた。

 重要文化財脇本陣「奥谷」は明治10年の総ヒノキ造りで、歴史資料館になっている。ヒノキは木曽五木のひとつで、江戸時代は禁制だった。

 「夜明け前」に本陣が登場するが、現在の本陣は平成7年に復元されたもの。観光案内所には旧警察署が使われている。1970年に復元された高札場がある。

 

 妻籠宿から中山道を10分ほどで大妻籠宿がある。妻籠宿の奥座敷的性格。「立場(たてば)」として賑わった。立場とは宿場間の休憩施設で、発展すると間(あい)の宿と呼ばれた。集落として観光に力を入れているわけではないが、民宿がある。集落を離れると山道になる。

 

○馬籠宿

  島崎藤村誕生の地。「木曽路はすべて山の中である」で始まる「夜明け前」の舞台。坂の途中にある宿場。1895年、1915年の大火で焼失後、復元された。伝統的建造物群保存地区には認定されていない。明治20年代に藤村記念館が建ったことで観光地化するが、危機感を抱いた地元が方針を転換した。電柱は地下化、車の進入禁止、外資も禁止した。

 冠木門を持ち、島崎藤村の生家である本陣跡は藤村記念館となっている。脇本陣跡には木曽五木(ヒノキ、アスナロコウヤマキ、ネズコ、サワラ)が植えられている。六角形の玄武石垣になっている。

 平成17年に岐阜県中津川市越県合併した。大黒屋は「初恋」に登場するおふゆさんの生家。十曲峠には石畳道が残っている。妻籠と馬籠のあいだの山の標高800m付近に峠集落がある。

 

○大内宿

 会津西街道の宿場町。集落がもとからあったわけではなく、周辺の地域から集めて宿場とした。屋敷割が決められ、土地は95坪、建坪は40坪で妻入りの寄棟造り。本陣は400坪、脇本陣は190坪。明治になり、日光街道磐越西線の開通などで、宿場としての役目を終える。

妻籠宿、奈良井宿に続いて、3番目の伝統的建造物群保存地区に選定された。煙を逃がす越屋根(こしやね)を会津では「うだつ」と呼ぶ。