きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

みなさんの爆弾(朝比奈あすか)

 独特の暮らし方をしている6人の女性作家の短編集。モヤモヤとした物語、奇妙で不思議な物語、脚色の加わった物語、希望の物語といろいろ楽しめる。気になったのは「メアリーとセッツ」と「戦うなと彼らは言った」

 「メアリーとセッツ」は読み直してみたけど、奇妙なずれが多くて真相が気になる。東大理Ⅲに入り、TOEICも満点で簿記一級。だが事務の職に就き、それもリストラされ、コンビニバイトをしている不思議。出版詐欺に引っかかっているところと、円周率の証明が無駄に正十二角形を使っているのはわかった。もともとが架空の世界なのか、夢なのか妄想なのか、はたまた別の世界線と混じっているのか。ミジンコさんは脳内の住人なのか、弟は母は生きているのか謎である。また読み直してみよう。

 「戦うなと彼らは言った」は、作家冥利に尽きる、と素直に楽しめる。大人になるといろいろ捨てられるし強くなってしまう。それはいい面も悪い面もあるだろう。狭い世界で無駄な戦いはしなくていいのだろうが、今みているのが世界のすべてに思えてしまうときもある。