きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

消えていく日に(加藤千恵)

「選べなかった道の方が光輝いて見える。どうしても」

 

 二十代から三十代の迷い悩む女性の九つの短編集。語られている女性たちが落ち着き冷めているせいか、起伏が小さく落ち着いている。平易な表現で語られ、構えて読む必要もなく力を抜いて読める。転機を迎えあるいは乗り越え、顔を上げて正面を向いていくヒロインたち。ハロウィンの日に街をぶらつく「消えていくものたち」が異色だが最も印象深い。

 

作者の感性かあるいは演出なのだろうが「忠告と言うより呪いみたいだった」「帳尻合わせのような行動」「おままごと的な感覚」など、控えめに表現しているが、ここは断言してほしいと思う部分が見られた。

まだ若い作家さんで、これからに期待できる。他の作品も読んでみたい。