きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

海が見える家(はらだみずき)

入社一か月で退職した直後に、館山でひとり暮らす父が死去。所持金もなく、油井五男肉親からはつきはなされている。後片付けをしながら、海辺の別荘地での田舎暮らしへと傾いていく。 人生を楽しむ努力をしている人の手伝いをしたい。とてもよくわかるが、な…

幸福に死ぬための哲学・池田晶子の言葉

2007年に癌で他界した哲学者、池田晶子の言葉をまとめた本。 きになった言葉をいくつかピックアップ。 人は「思う」ことができる。人生はつまならないものだと思えば、人生はつまらないものになり、人生は素晴らしいものだを思えば、人生は素晴らしいものに…

図説 日本の文字(今野真二)

文字の文化史。はじけた文字、趣向をこらした文字など、文化財の中から拾い解いている。 鳥家篆書屏風、秋萩帖、金字宝塔曼荼羅図、扇面法華経冊子、初音蒔絵手箱、六花仙(歌川広重)などのカラー写真に始まり、文様、デザインとのかかわりについても詳しい…

二年半待て(新津きよみ)

就活、婚活、恋活、妊活、保活、離活、終活の7つの活動の短編集。 いずれも安定して面白く、さわやかな読後感があった。

通りすがりのあなた(はあちゅう)

幼少期の香港生活や就職前の世界一周など、著者のインターナショナルな部分が表れている7つの短篇。友達以上恋人未満の曖昧な人間関係に触れている。 病んだ人に一日だけの妖精サービス「妖精がいた夜」、合コンで知り合った真面目外銀マンの留守宅を一か月…

生態系と生物多様性を五感でとらえる自然観察のポイント(桜谷保之)

ただ漫然と散策をしたり自然観察をするのもよいが、新たな視点を提供してくれる一冊。ふだん目にするものでも素通りしていることだらけであるのがわかる。 自然なのか人工なのかは観察者の見るレベルによって異なる。例えば鉛筆は人工物だが、薄く削り、顕微…

フォレスト・ガンプ

運命とは何か。与えられた環境で精いっぱい生きることで掴めるものもある。オープニングとエンディングで舞う羽が印象的。 そして、フルーツ会社の株が今どうなっているかとても気になる。

自分から勉強する子の親がしていること(大塚隆司)

子どもが勉強を好きになり、成績がぐんぐん伸びる。だれもが望んでいることだが、それはなかなか思うようにいかないことの裏返しでもある。著者が語りかけてくるように、とても読みやすい。 勉強は自分のためにすると考えるのは思春期以降で、思春期前の子ど…

あらすじで味わう名作文学 古今東西の名著30選(小川和佑)

名だけは知っているが読んだことのない作品も多く、内容の把握には非常に役に立つ。 実際に作品を読んでみたいと思うのもいくつかあった。 源氏物語は不可解なエンディングというのも初めて知ったし、好色一代男は知っていても、好色一代女は初耳。五重塔か…

地震の巣

茨城県南部から千葉県北西部にかけては地震の巣と呼ばれている。ここで起きる地震は海溝型の地震や活断層型の地震のようなありふれた地震とは性質が異なっている。 ユーラシアプレートの下に太平洋プレートが沈み込むことで、日本海溝ができ、東日本大震災を…

訪問看護師さゆりの探偵ノート(石黒順子)

飛鳥山、音無川界隈で働く訪問看護師の日記の体裁。なかなかなじみのない訪問看護の実情がよくわかる。 子供がみんな無邪気な天使とは限らないように、お年寄り全員が物静かな善人とは限らない。 主人公のセリフで「あの人が犯人に違いない」というのが何度…

こころ(夏目漱石)

NHKの100分de名著を読んでから、新潮文庫の「こころ」を読んだ。 漱石は江戸時代最後の年の生まれ。明治元年に1歳、明治2年に2歳というように、明治とともに歩んできた。その明治時代は、日本の古い制度が破壊され、国にも、教師にも、親にも模範となる人…

言ってはいけないクソバイス(犬山紙子)

100のクソバイスとクソバイス返し。 クソバイスとは 求めていないのに繰り出される、クソみたいなアドバイスのこと。相手のためを思って言っているようで、実は上から目線で持論を押し付けているだけのことが多い。なお、クソバイスすると大変気持ちが良い。…

不連続殺人事件(坂口安吾)

堕落論のついでに不連続殺人事件を読んだ。横溝正史の獄門島を抑えて第二回探偵作家クラブ賞を受賞した作品。 登場人物が二十人以上いて、書き出さないと混乱する。芸術家肌の変人ばかり登場し、犯人の不審な行動も気づきにくくなっている。 消去法やアリバ…

もう切るわ(井上荒野)

占い師の男がいる。不倫をしているその妻と、男の愛人が交互に一人称で話が進んでいく。男が癌で余命宣告を受けてから動き始める。 登場人物がみんな迷いつつ二股をかけている。脇役も含めて四人が二股。 「切る」のは電話でも関係でもなく。 「夫は今、まち…

自虐史観

地球上に生命が誕生して以来、多くの種が誕生し絶滅していった。そのうち、二百万年程度の短期間で二十五パーセント以上の種が絶滅した事象を大絶滅と称する。大絶滅は5回確認されており、ビッグファイブと呼ばれる。ビッグファイブ以外にも小絶滅は30回ほど…

踊る星座(青山七恵)

「いくら汚れた雪だるまの立場に甘んじようと、通る泥道だけは自分で選びたい」 青山七恵の作品もそうだが、芥川賞作家の作品はエンタメとは一線を画しているものも多いように感じる。だが、「踊る星座」はめずらしくエンタメ寄りになっている。 目次からは1…

Dの殺人事件、まことに恐ろしきは(歌野晶午)

江戸川乱歩の作品をを借りた七つの短編。 それぞれの最初のページにもととなる江戸川乱歩の作品が紹介されている。 どの短編もブラックな「オチ」がしっかりとあり、そう来たかと頬が緩む。 陰獣幻戯だけは何かのアンソロジーで読んだことがあった。 江戸川…

堕落論

堕落論(坂口安吾) NHKの「100分de名著」を先に読んでみた。 解説が非常にわかりやすく、全体像が捉えられた。 その後、角川文庫の手ぬぐいの表紙の堕落論と続堕落論を読んだ。 解説されていた通りの内容だった。 むしろ、100分de名著に主題を誘導されてい…

少女終末旅行

人類以外が絶滅し、人類も生き残っているのは数えるほどしかいない。 終末の世界を気の合う二人でのんびり旅行できるとはなんと羨ましい。 人類以外の生物がいないということは、新たな食糧が手に入らないことになる。 食料が尽きるまでの間をどう過ごすか。…