ピーター・パンとウェンディ(ジェイムズ・バリー)
「迷子たちはわかっていたのです。子供がお母さんなしでもけっこううまくやっていけることを。やっていけないと思っているのはお母さんだけなことも」
先日読んだ「ピーター・パンの冒険」と比べると倍くらいの厚みがある。こちらのほうがよく知られている方だが、予想外に人が死にすぎる。死んではいけないというルールがあるわけではないが、意外であった。ウェンディも家から飛んできたところで、いきなり迷子の子どもに胸を射られ地面に落ちて死体となる。と思ったら、どんぐりのおかげで命拾い。胸ポケットに入っていた幸運のメダルである。
追加された後日談ではウェンディが母親になり、そして祖母になる。人間として暮らすウェンディと、年をとらないピーター。同じ時間の流れの中を生きているわけでもなく、相手に対する思いも全く別である。
読み手側のくせもあるのだろうが、翻訳ものは直訳に近い箇所は原文が想像できてしまって、没入感が失われてしまう。