きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

彼女の恐喝(藤田宜永)

大学四年生の圭子は六本木のクラブで生活費を稼ぎながら出版社への就職に苦労していた。台風の接近により停電した中を帰宅中にクラブの客の国枝が人を殺していたのを目撃し、恐喝に手を染めてしまう。出版社への紹介を餌にする男や同郷の男にも付きまとわれる圭子と、他人に言えない過去を持つ国枝がお互いに惹かれあっていく。圭子は国枝を殺人者と知りながら、国枝は稽古を恐喝者と疑いながら。

 

サスペンス物は一気読みしたくなる。隠した札束を使ってもうひとひねりというか、もう一波乱があってもよさそうに感じた。そうでなくても十分に楽しめる作品だ。通常ではありえないような相手に惹かれ、共に過ごす時間に安らぎを感じる違和感。でもそこが良い。したたかに生きてみたいものだ。