きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

日経サイエンス 2020年1月号 人口知性Artificial Imagination

メコンデルタの危険な標高

 科学技術も進歩しているし、標高調査などは衛星なり、ドローンなりで簡単だろうと思っていたが、そうではなかった。2002年のスペースシャトルエンデバー」のデータをいまだに利用しているのだ。メコン川下流のデルタ地帯はデータ上の平均標高は2.6mとなっているが実際は0.8m程度らしい。衛生観測だと垂直誤差がメートル単位になるので低地の測定には不向きだし、精密計測はお金がかかりすぎる上に、政府が値の公表を控えがちでもある。ゼロ地点の設定をどこにするかも一長一短がある。グローバルな海抜ゼロ水準点を使うと海流の影響による海面の盛り上がりを考慮できない。今回の調査では年5cm程度の地盤沈下があることがわかった。このままだと2050年ころにはメコンデルタは海面下に沈むことになる。

 

・AI(Artificial Imagination) 人口知性

ある課題を学習しては忘れ、別の課題を学習しては忘れというのを続けていくと、それらの課題に共通する特徴を把握していき、新たな課題を短時間で習得できるようになる。どう学習するか、つまり「メタ学習」をしていることになる。メタ学習で重要なのは「忘れること」だ。いずれはニューラルネットワーク同士が目の前の課題を表現する「言語」を開発し、互いにスキルを教え合うことが期待される。ただ、人間にもそのスキルを説明できなければ人間との共存はできないだろう。まだ限られた条件での課題習得しかできず、現実世界に基づいて物体を構成的に理解する力の獲得も望まれる。

あなたの隣の発達障害(本田秀夫)

人口比で15%近くいる発達障害の人がストレスなく生きていきやすい環境は、すべての人にとって快適な環境だ。身近に発達障害の人がいなくても、発達障害について知ることは生きやすい社会について知ることにもなる。

発達障害は生まれ持った特性で気の持ちようで障害がなくなるわけではない。別の種属の生き物と例えるとわかりやすい。ADHDは定値安定、たまにハイパフォーマンス。ASDは融通が利かない。いずれも厳しい対応は二次障害を招いてしまう。アバウトな人が多い環境で育つと二次障害になりにくい。

定型発達の子は友だちどうしで相談するなど、親や先生以外の層Dン相手を見つけながらなんとかやっていくが、発達障害の子は「できないのは自分が悪い」「人に相談すると叱られかねない」と刷り込まれ、自分の能力を超えた課題に直面しても誰にも相談できないことがある。社会に適応するにはある程度の「自律スキル」と」「ソーシャルスキル」を身に付ける必要がある。

「学校は勉強するところ」と大人に言われても、ほとんどの子は友だちに会いに行くついでに勉強もしている程度で、成績が良くなくても学校を楽しめる。勉強しろ、友だちは大切にしろ、みんなと一緒だと楽しめるはず、部活もしっかり、…といわれても一般の子は適当にやり過ごすが、発達障害の子は上手にサボれない。言われたことをやり、周りに合わせるうちに自分が本当にやりたいことがわからなくなってしまう。

仕事とは労働に対する対価をもらうだけであって、常に努力し向上する必要はない。工場はノルマではないし、命を削ってまで仕事をする必要はない。会社側も向上を前提に採用するのではなく、向上した人の給与をアップすればよいだけだ。長所は活かす、だが、短所は克服しないというスタンスでいこう。

九度目の十八歳を迎えた君と(浅倉秋成)

「彼女は年齢を患っているのだ」

高校の頃に心を寄せラブレターも書いたが返事をもらうこともかなわなかった。アラサーとなった主人公が通勤時の駅のホームでその子が昔のまま高校に通う姿を見かける。いったい何が起きているのか、なぜ彼女は18歳のままなのか。

大人になりたくないという思春期症候群のひとつ。だが、それだけではない。主人公にまつわる大きな謎もあった。26歳はアラサーなのかと軽くスルーしていたが、伏線のひとつだった。彩雲を使ってもっとわかりやすく夢がかなったことを表現したほうがカタルシスもあったような気もする。

ポジティブの教科書(武田双雲)

東京理科大卒の書道家が幸せになる近道を語る。

幸せになる三つの簡単な基本は幸せを与えること、幸せであることに気づくこと、幸せな言葉を発し、幸せな態度をとること。

捉え方をネガティブからポジティブにし、あらゆることに感謝をする。まず自分から与え、他人を幸せにすることで自分も幸せになる。

使い果たす習慣(森秋子)

物を整理していく本はたくさんあるが、この本は一歩も二歩も踏み込んでいる。物は手放すことで縛られた心も軽くなる。手放すコストも急上昇中。微妙な服、飽きた物は捨てる。足りないものは今あるもので工夫し、これはこう使うという固定観念を捨てる。洗面所がオフィスになるし、風呂場も会議室になる。

あした、また学校で(工藤純子)

「優しいだけの人もいなければ、悪いだけの人もいない」

 

学校に何を期待しているのだろうか。先生に何を期待しているのだろうか。期待など捨てて、自分が行きたいと思える場所に変えるように働きかけてみる。うまくいかなければ学校など行かなくてもいい。

学校を好きな子も嫌いな子もいる。でも、少しでもみんなが学校を楽しい場所と感じられるようになるといい。