きまぶろ

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陰獣(江戸川乱歩) 春陽堂

 探偵小説作家の「私」のところに小山田静子が訪れ、ストーキング・脅迫の被害に遭っていると訴える。かつての恋人が探偵作家となり静子に復讐しようとしているのだと言う。

 

 「陰獣」ではなく「淫獣」とも言える。一人二役のトリックがあるが、単純な一人二役ではない。ちょうど90年前に書かれた中編小説だが、思っていたより読みやすく古臭さがない。作中には「屋根裏の散歩者」など、江戸川乱歩の過去の作品が登場し、トリックにも一部触れていて、はらはらさせられる。着物についての知識が乏しく、着物の描写から静子の姿を想像しにくかったのが残念だ。

 グロテスクな表紙は多賀新の銅版画「虚飾」

 他に「盗難」、「踊る一寸法師」、「覆面の舞踏者」を収録

 

盗難:主任と偽警官2人の全員がグルなのかも。

踊る一寸法師:一寸帽子が手にしていたのはスイカそのものかも。

覆面の舞踏者:「十一」と「十七」を聞き間違えただけで、主人公と踊ったのは主人公の妻かも。