きまぶろ

本とアニメと気ままな生活のブログ

自然科学

第一人者が明かす 光触媒のすべて(藤島昭)

酸化チタンに光を照射すると水から酸素が得られることを発見した著者による、光触媒のしくみ、用途などの解説。 酸化チタンの光触媒反応は強い酸化分解力と超親水性による。酸化分解力はあらゆる有機化合物を二酸化炭素まで酸化し、水をも酸化してしまう。こ…

夜ふかしするほど面白い月の話(寺薗淳也)

明るく夜空を照らす月は、肉眼ではっきり見える唯一の天体であり、ただ一つ人間が端を踏み入れたことがある天体でもある。いつもそばにいるなじみ深い天体としての月と、人類が訪れたという科学技術の側面としての月という2つの顔がある。 惑星科学のの専門…

日経サイエンス 2018年4月号 量子コンピュータ

今号で気になった記事は3本。 ・量子コンピューター最前線 2018年中にはIBM、Googleが50量子ビット級のチップ計画。数年以内には50~100量子ビットのマシンの予定。これにより、現在のコンピュータ能力を超えると思われる。 量子コンピュータの最大の弱点は…

日経サイエンス 2017年4月号

「ピルトダウン人の真相」の記事のなかのことば。 科学の場合は発見される時期というのも重要だ。その時代の理論で解釈できない結果は無視されてしまいがちだ。

日経サイエンス 2018年3月号 生命の起源

今号は微生物ネタが豊富。気になった記事は以下の3本。 ○暗い太陽のパラドックス 星進化の標準モデルによると、30~40億年前の太古代は、太陽光度が現在より20~30%低く、全球凍結するレベルだった。なのに太古代は全球凍結しなかった。全球凍結があったの…

DNAの98%は謎(小林武彦)

人の全遺伝情報のうち、遺伝子としてタンパク質に翻訳される部分はたったの2%だけ。残り98%の非コードDNAは無駄な部分と考えられてきた。分子生物学の始まりから、ヒトゲノムの解読を経て、非コードDNAの役割とその未来について、最新の研究成果も踏まえ…

モラルの起源(亀田達也)

人間の行動の合理性は3つの時間軸で考えられる。進化時間における合理性、歴史時間、文化時間における合理性、生活時間、緊急時間における合理性の3つだ。本書では進化時間と文化時間における合理性について述べている。 人間の社会行動はとても複雑で、互…

はじめての地理学(富田啓介)

多くの学問は扱う対象によって定義されるが、地理学は空間の広がりや場所による違いに注目するという「観点」で定義される。地理学は地表にみられるあらゆる事象を、互いの関係性を見極めながらかいめいする学問である。それぞれの地域を総合的に取り上げ、…

魚だって考える(吉田将之)

「こころの生物学」を研究する広島大学教授による、魚のココロについての本。学生に研究テーマを割り振る際に、特技を生かしてもらったり、そのテーマの意義について理解してもらったりと、教育者としても好感が持てる。 以下は面白かったところ。 人間にと…

日経サイエンス 2018年2月号 AIの新潮流

今号で気になった記事は2つ。 ・こどもの脳にまなぶAI (Making AI more Human) 学習には主に2つのアプローチがある。ボトムアップ方式は知識のない状態から大量の情報をもとに特徴を抽出する方法で、AIではディープラーニングなどの機械学習にあたる。トッ…

進化の教科書 第3巻 系統樹や生態から見た進化(Carl Zimmerほか)

2013年のEvolution: Making Sense of Lifeを訳したものである。新刊で見かけたので手を出した。3分冊の最終巻で第9章から13章まで。1、2巻を読んでいなくても何とかなるが、時間を見つけて読むつもりである。 第9章 系統樹 第10章 遺伝子の歴史 第11章 …

海に沈んだ大陸の謎(佐野貴司)

本書は、ムー大陸伝説を地質学的に検証するというかたちで地学の基礎から説明し、大陸と海洋底の違いや、地球の歴史における大陸の成長史などについて解説していきます。そしてタイへようの海底に存在する巨大海台とは何なのかについて考えていきます。さら…

自然はそんなにヤワじゃない(花里孝幸)

第一章 生物を差別する人間 「雑草」という言葉は人間の都合で付けた呼び名である。その植物が人間の役に立つか立たぬかという判断がそこに入っている。刈っても刈っても雑草が生えてきて困るということは、そこにはそれだけ高い植物生産力があり、それを支…

ウイルス大感染時代(緑慎也)

2009年に新型インフルエンザが流行した。このときのウイルスは従来型のH1N1が豚の体内で変異したもので、抗体がある程度有効で、大きなパンデミックにはならなかった。 従来型インフルエンザ(季節性インフルエンザ)は呼吸器でしか感染、増殖しない。H5N1な…

絵でわかる生物多様性(鷲谷いづみ)

生物多様性(viodiversity)とは、種内多様性、種間多様性、生態系多様性の3つで、自然環境保全のためのキャッチフレーズである。分類され学名の付けられている種は約200万種いるが、推定ではその10倍程度は存在している。全生物の共通祖先LUCA(last univer…

生態系と生物多様性を五感でとらえる自然観察のポイント(桜谷保之)

ただ漫然と散策をしたり自然観察をするのもよいが、新たな視点を提供してくれる一冊。ふだん目にするものでも素通りしていることだらけであるのがわかる。 自然なのか人工なのかは観察者の見るレベルによって異なる。例えば鉛筆は人工物だが、薄く削り、顕微…

地震の巣

茨城県南部から千葉県北西部にかけては地震の巣と呼ばれている。ここで起きる地震は海溝型の地震や活断層型の地震のようなありふれた地震とは性質が異なっている。 ユーラシアプレートの下に太平洋プレートが沈み込むことで、日本海溝ができ、東日本大震災を…